よくある風俗トラブルについて

①  風俗店を利用した際、プレイ中を盗撮した場合、逮捕されるか?

よくあるご相談として、デリバリーヘルスを利用した際、プレイ中の動画を撮影し、風俗嬢の方にバレてしまい、お店の方数人に取り込まれ、警察に通報する、通報してほしくないのであれば示談金を支払うように要求をされ、どうしてよいかわからなかったというご相談をお受けします。

では、盗撮行為はそもそもどのような犯罪行為にあたり、逮捕される可能性があるのでしょうか。

風俗店を利用中の盗撮行為に関しては、迷惑防止条例違反または軽犯罪法違反に該当する可能性があります。

1 迷惑防止条例違反について

迷惑防止条例は各都道府県によって若干内容は異なりますが、内容は概ね共通する内容となっております。

具体的に、福岡県、香川県、長崎県の迷惑防止条例違反の規定が下記のようにあります。

香川県の場合

違反 香川県迷惑行為等防止条例違反 第3条

罰条 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

福岡県の場合

違反 福岡県迷惑行為防止条例違反 第6条

罰条 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

長崎県の場合

違反 長崎県迷惑行為等防止条例違反 第3条

罰条 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

2 軽犯罪法違反について

軽犯罪法違反第1条23号において「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」と規定されており、「ひそかにのぞき見た者」は、スマホや隠し撮りカメラなどで盗撮することも含まれると解されているため、盗撮行為は、軽犯罪法違反に該当する可能性があります。

軽犯罪法違反は、拘留又は科料に処させることになりますが、「拘留」とは、刑法16条に「拘留は、1日以上30日未満とし、刑事施設に拘置する。」とあるため最大29日の身体拘束の可能性があり、また、「科料」とは、刑法17条に、「科料は、千円以上一万円未満とする。」とあるため、最大9,999円の罰金に処せられる可能性があります。

3 逮捕される可能性について

風俗利用上の盗撮行為は上述のように、迷惑行為防止条例違反や軽犯罪法違反に抵触する可能性があり、軽犯罪法違反で逮捕されることは住居不定でもない限り、可能性は低いのですが、迷惑防止条例違反で逮捕される可能性はあります。

しかし、逮捕は、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないとされないため、盗撮行為を認めており、真摯に任意の取り調べなどに対応しているケースであれば、在宅事件として捜査されることが多いと思われます。

風俗行為利用上の盗撮は犯罪行為です。

4 風俗業者から盗撮行為の罰金100万円支払えと言われた場合、罰金100万円の支払いをしないといけないのか?

デリバリーヘルスなどの利用規約に「盗撮禁止、罰金100万円」等との記載がありますが、デリバリーヘルスが、刑事罰としての罰金を課すことはできませんので支払い義務はありません。

しかし、盗撮行為をしてしまったこと、風俗嬢の方が男性恐怖症やトラウマになり、出勤できなくなった場合には、風俗嬢に対して休業損害の支払い義務があります。

また、性行為等を撮影されたこと自体が不快な気持ちを抱くことがあり、また撮影画像のネット流出の危険性のある行為であることからすれば、風俗嬢に対して、精神的苦痛を与えることとなり、慰謝料を支払うことがあります。

では、そのような状況を踏まえた上で、いくらが慰謝料の相場であるかとよく質問を受けます。

実際には、盗撮の内容や行為態様等により、金額は大きく異なることはありますが、一般的には、50万円前後での示談により解決することが多いものと思慮します(当事務所のこれまでの解決金額の平均値)。

風俗店を利用し、本番行為をした場合どうなるの?

本番行為で慰謝料金300万円は適正か?

デリバリーヘルスで本番禁止であるにもかかわらず、本番行為を行ってしまった場合、よく慰謝料300万円など高額な慰謝料を請求されることがあります。

この慰謝料300万円の支払い義務があるのかが問題となります。単純に本番行為を行ったと言っても、次の3つの状況が考えられます。

1. 本番行為を行う意思はなかったが、プレイ中に誤って挿入してしまった場合

お客側が本番行為を行う意思はなかったが、プレイ中に誤って挿入してしまった場合については、原則として、慰謝料の支払い義務はありませんが、プレイ中に誤ってしてしまった行為について、過失があった場合には不法行為が成立する可能性があり、その場合には慰謝料の負担義務があります。

しかし、このような場合、慰謝料300万円を要求されても支払う義務はありません。

2. 風俗嬢の同意を得て、本番行為を行った場合

風俗嬢自信が本番行為に同意している以上、風俗嬢に対し、慰謝料等の支払いをする必要はありません。

しかし、お客側が本番行為が禁止されている店においては、本番行為をしないという債務を負っており、それに従わなかったことにより、債務不履行に基づく損害賠償請求を風俗店から受ける可能性があります。

その場合であっても、金300万円はあまりにも高額であり、10万~30万円くらいが示談の金額の相場だと考えられます(あくまでも当事務所の示談の平均金額です)。

3. 風俗嬢が拒絶しているにもかかわらず、無理やり本番行為を行った場合

風俗嬢が性行為に同意しておらず、拒絶しているにもかかわらず、無理やり本番行為を行った場合、強制性交等罪が成立する可能あります。

お客側が風俗嬢に対して、殴る蹴るや殺す等と脅し、本番行為を要求したような場合には、強制性交等罪が成立し、このような場合の慰謝料の相場としては、金200万~350万円程度です(あくまでも当事務所の示談の平均金額です)。

他方で、消極的に同意しない場合、すなわち、同意したわけではないが、拒否も抵抗も一切しなかった場合については、強制性交等罪が成立する可能性は極めて低く、慰謝料の額としては大幅に減少ないしは支払い義務すらない場合もあります。

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